ドッペルゲンガーの恐怖



帰宅部3人が放課後、ステーションデパートを徘徊していたときの事。

「あれ?あれってタクオじゃねえか?」

階段を登っていくタクオを発見。

「あ、ホントだ!タク」

オと言いかけたところでシンジが俺の背後に回り羽交い締めで口を塞いできた

「シーッ!シーッ!アイツトイレ入るところじゃね?イタズラしねーか?」

「イイねイイね!やろうぜ!」

賛同するユウタ。

タクオは嫌われ者という訳ではないが毎日を暇に過ごしていた俺達は、イタズラを実行する事にしたのだ。

トイレでのイタズラと言って一番に思い付くのは小便をしているところを背後からコッソリ近付いてワッ!とやることだろう。
あまり強くやると相手が便器にぶつかって汚くなってしまうのであくまでもソフトにするのが基本。

俺達3人は阿吽の呼吸でコッソリトイレに入った。
(小声で)
「アレ?イナイな?」
「オイ!wwww」
そう言ってユウタが指差したのは個室
「アイツ大してんのかよwwww」

ユウタが入り口付近の小さなドアを開けるとバケツやモップなどの掃除道具があった。

シンジがおもむろにバケツを持ってタクオが入っている個室の上からバケツを投げ入れた。

「うわ!なんだなんだ?!」

ユウタはモップを手にしてドア下の隙間からモップを差し入れて
「ウヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャ」
と奇声を発している。

「誰だ?なんのイタズラだ?こら!止めろよオイ止めろ」

(小声で)
「オイ!やり過ぎだろ止めろって」

ユウタはエスカレートして雑巾を投げ入れている。

その時ドアの鍵を外す音が聞こえてドアが少し開いた。
モップの柄が邪魔して止まった。
タクオの奴、なりふり構わず、いや、もしかするとまだズボンを下ろしたばかりで用を足していなかったのかもしれない。
もしかすると渾身の力を括約筋に集中して便意に打ち克ち、イタズラをしてきた悪人(俺達)を撃退する手段に出たのではないか。

「逃げろwwww」

俺達3人はダッシュで逃げた。
トイレを出てスーパーダッシュで階段を駆け下りた。

無我夢中で三階は駆け下りた。

良かった、追跡者(タクオ)はいない。
イタズラしたのは俺達だとはバレていない。
明日は何食わぬ顔で接することにしよう。
突然シンジが声をあげた

「うわあああ!た、タクオ!」

タクオが階下から登ってきたではないか。
「お!みんな、どうしたの?」

「いや、お、お前、どうやって(トイレから出て一気に下まで行って登ってきたんだ?)」

「なになに?wどうやってってなんだ?わりい、俺小便したくてさこの下女性用だったから上の男性用トイレを目指してるんだ」

訳がわからなかった。
先程トイレに居たタクオが4階下から現れてこれから小便をするというのだ。

俺達3人は訳が分からず顔を見合わせタクオに付いていった。

そこには掃除婦のおばさんが居た。

「まったくやんなっちゃうわ」

「どうしたのおばちゃん?」

「朝から二時間おきに掃除にきてるんだけどさここずっと使用中でさ」

(さっきのタクオが入ってた個室のことだよね)

「ノックしても返事ないし流石におかしいと思って椅子使って上から覗いたの。そしたら誰も居ないのに鍵かけてバケツやら雑巾で汚しまくってるの」

(汚しまくってるのは俺達だが)

「だ、誰かいたでしょう?誰か!」
ユウタが噛み付いた

「イタズラして上の隙間から逃げたんだよイヤらしい」

「いや、だってさっき」

「さっき?」

「いやなんでもないッス」

俺達は見間違いをしたのだろうか?
実は個室の中にはタクオじゃない誰かが入っていて俺達がイタズラした後に上の隙間から逃げて、その後におばちゃんが来て、、、いやしかしなんかおかしい。
あの時確かにドアが開いてタクオが出てこようとしていた、いや、正確にはタクオと確認はしていないけれど。

そうだ、ダッシュで逃げた時、確かに足音が追いかけてきていたんだ。
誰かがトイレから出てきたのは間違い無いんだ。

「わけわかめだなww」

タクオが口癖を呟き、おばちゃんがいるのにもかかわらず用を足した。

「俺、帰るわい」

そう言って帰ってしまったタクオ。

それはタクオを見た最後だった。
タクオは約30分後、交通事故で死亡してしまったのだ。

あれはドッペルゲンガーだったのかな。
自分が自分のドッペルゲンガーを見ると死ぬと言うけど、見たのは俺達だものな。
あとさ、ドッペルゲンガーにイタズラしたら駄目なんだよ多分、多分だよ。

毎年命日に来るユウタの墓の前で毎年恒例の呟き。
「今年もシンジのお墓にも行くからな今からな」

友達のドッペルゲンガーを見たらイタズラなどけしてしないこと。

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