なんでもキャバクラ嬢の部屋の鍵を曲げて部屋の前で真っ直ぐに直して部屋に入るという技を使っているらしいのだ。
当時飲み屋を経営していた私。
そのお店にAが偶然来店したのでした。
ここぞとばかりに超能力の披露を懇願しました。
他にもお客さんがたくさんいましたのでウケると思い懇願しましたし。
ところがAは超能力の披露を頑なに拒否してきました。
訳を聞くと、調子に乗って超能力を恩人の子息の小児性癌の治療の為に使っていたそうなんです。
それ以来すっごく体調が悪くなって死にかけたそうなんです。
治療を受けた子供は癌が消えて回復したそうです。
治療って違法だけど人助けじゃん!
人助けして体調悪くなるっておかしくないか?
女の子の部屋に入る為に悪用やり過ぎてそれが原因じゃないの?
嫌がるAをあの手この手でねじ伏せてなんとかスプーン曲げを披露してもらえる事になりました。
スプーンはお店のステンレス製でかなり頑丈でした。
Aはスプーンを見つめて「気を注入する」などと言っていました。
スプーンの首の部分を親指と人差し指で5分くらいコスコスしていました
なんかインチキ仕込んでんじゃないの?
凝視する私にAは
「久しぶりだから金属は硬いという概念がなかなか消えない。ごめんねもう少し待って」
ヨシ!!!
そう言うとAは
「じゃあ曲げるね」
と続けスプーンの頭を人差し指一本で手前に引いてグニャリと曲げたのです。
わぁー!凄い!という歓声の中Aはスプーンを真っ直ぐに戻してから1回転捻ったのです。
Aの凄さは曲げたり捻ったスプーンを元に戻す事でした。不思議ですが曲がったり捻れた跡がどこにも見えないのです。
曲げた金属を戻すと必ずシワができます。それができないのです。元に戻すスプーン曲げ師は世界でも類を見ないと思います。
私も観客も手に取って確認しましたがまるで新品のスプーンがそこにあるだけでした
Aは気分が乗ってきたのか
「今からこのスプーンを折るから見ててね」
そう言ってスプーンの一番下を両手で持って真っ赤な顔でウオーーーと声を上げました。
プシュー!という音と共に手も触れていない首の部分が煮え立ったように沸々してポロリと落ちました。
観客は狂喜し絶頂でした。
煮え立ったように見えた断面は触ると冷たく鋭利な刃物で切った豆腐のような断面でした。
次にAは私のお店の鍵を出すように要求して、それを90度に曲げました。
そして真っ直ぐに戻したのです。
もちろん鍵穴にれて施錠はできます。
これがキャバク嬢の部屋に入る裏ワザなのでしょう。
我々は超能力を信じるしかありませんでした
Aは超能力が直ぐに飽きられてしまった為にキャバクに直ぐに飽きられてしまって気を引くために500円玉に穴を開けるマジックを織り交ぜたりしていたようです。
その事が超能力なのかマジックなのかわかりづらくややこしい噂がたった原因のようです。
A曰く、「超能力は本来誰にでもあってスプーン曲げも誰にでも出来る」
空手で瓦を沢山割るのと同じ感覚だそうです。
確かに数十枚の瓦なんて一般人には割れません。超能力と言ってもいいと思います!
Aは鍼灸院に行った先で脳波のアルファ波を測定したそうです。一般人の10倍あったそうです。
Aはスポーツ選手を目指していた時期があり、イメージトレーニングをするとアルファ波が発生するそうなんです。
その時、これだけアルファ波があったらスプーン曲げができるかもよ!と院長に言われたそうです。
院長の冗談を真に受けて練習する事1週間、スプーン曲げ能力が開花したそうです。
素直な人は超能力が開花しやすい?!
鉄を鉄とは思わない。柔らかいとも硬いとも思わない。感じない。
曲げようと思う自体硬さを連想しているのでダメ。無心で曲がった最終形だけをイメージする
アドバイスはこれだけだった。
スプーンを曲げる事は日常生活ではたいした役にたたないが、Aの話を信じるならば自分の命を落とすかもしれないが余命宣告を受けた癌患者をも救える可能性もある訳だ。