深夜のコンビニの怪談



仕事柄帰宅するのが深夜なんで、クタクタに疲れて自炊する気にはなれず不健康だとは思いつつ週に3回~5回はコンビニ弁当と発泡酒で済ませてしまう。

家の直ぐ近所にあるコンビニに立ち寄っているのだが、深夜帯は50代半ばのオッサンと


20代のイケメン君がセットになって勤務していた。


(写真はイメージです)

オッサンは波平ハゲで眼鏡をかけており、いつも目ヤニがついた目をしていて鼻毛3本がデフォルトだった。

イケメン君は長身ムキムキ細マッチョでロン毛、日本人離れしている顔立ちでモテそうなやつだった。

「おい!箸入ってないだろ(怒)」
「スイマセンスイマセン」

「本とアイス一緒に入れないでくれますか(怒)」
「スイマセンスイマセン」

繁華街のコンビニだから酔客も多い、オッサンがそうした客に怒られている姿をちょくちょく目にするのだった。

そのたびにイケメン君が丁寧に謝罪し、客が帰った後はオッサンに対して大丈夫気にしないで!という気遣いを見せているのだった。

なんていいやつなんだイケメン君!

毎日のように来店して顔見知りになっていた僕は
「今日も頑張っているんだね」
等と声を掛けていた。
「いえ、そういうのじゃないです」
謙虚なイケメン君なのだった。

ある日、入店すると大声で怒鳴る客がいた。
唐揚げの味を何度も間違えて聞き直したのが気に入らない的な因縁だった。
いつもはフォローに入るイケメン君が今日はいない。
休憩か休みか?
僕は商品を選んでレジに行き因縁客の後ろに並んだ。
執拗に責め立てる酔客。
鬱陶しいので

「いいから早くしろ急いでんだから」

と大声で言ったらビクっとしておとなしくなった。
こういう輩は小心者が多いのだ。

あまりの大声に棚裏で商品出しをしていたイケメン君が飛び出てきた。
「どうしたの?」
「ユウジ!またミスしちゃった」

イケメン君、ユウジって言うのか…

多勢に無勢となって酔客は退散した。
取り乱したオッサンは棚裏に消えていった。
レジを打っているイケメン君ユウジに僕は言う

「あのオッサンいつも怒られているね」

「ああ…不器用なんです」

「君はいつもフォローして大変だね」

「いえ、そんな事思ったことありません」

「だいたいオッサンで不器用な人が接客業でレジ打ちとか無理でしょうwww」

「…ヤメテ…クダサイ…」

「え?」

「ヤメテくださいよ」

「何が?いつも怒られていて他のお客も不快になってんだしオッサン向いてないよって思うくらいいいでしょう」

「愛する人を侮辱するのはヤメテくださいよ(震え声)」

え?え?ええええ?愛する人?

なんとイケメンユウジ君はゲイでしかも枯れ専だったのだ!
深夜のコンビニでひっそりと世間の裏街道を二人で寄り添い歩いていたのだ。
マジか!
翌日以降二人の姿を目にする事は無かった。
もし貴方の街の深夜のコンビニで年の差男同士を見たなら、それはユウジとオッサンかもしれない